「知り合いの妹さんの事かな。
帰る方向が一緒だからって、
車に乗っけて貰ったんだけど。」


帰り道に寄った、
ヒトケも疎らな夜の公園のベンチで。

コンビニで買った缶コーヒーを
肩を並べ、2人で飲んでいた。


「だけど、悪い事は
できない事になってンだよな。」


彼はそう云って笑う。
何気ないその言葉に
あたしは視線を落としてた。

また、云ってしまった優弥も
それにはっと気付き、
肩を抱いて軽く揺らしている。


「彼・・やっぱり
貴方の事好きだったんだ。」

「・・・・・・。」


何も云えない。

どうやら絵麻は、足立くんが
あたしを口説きに掛かってること、

それと例の車の女のコの事を
からかって彼に云ったらしい。

じゃあ・・他は?
何で知っているんだろう?

もしかして飲みに行った時の事を
見られていたのかも知れない。

例えそうであっても
彼は責められないだろう。

まだ云える間柄じゃないと
本人も解ってる。

だから
"彼とはどうするの?"とも聞かない。

そのかわり、
互いのコメカミを合わすかに
大きな手で
あたまをクイと自分へと引き寄せた。


"信じてるから"


彼のその意は
黙っているからこそ伝わってくる。

許され、信頼もされているのに

まだ・・あたしは彼が
好きがどうかもはっきりしてない。


"まだ解らないのに・・?"


あの後、車の中でポツリと呟けば
そのうち解るからと・・優弥は云った。


「俺の、ココに居てよ」


そしてまた、そう呟いている。