朝日がようやく昇りきったばかりの時間、美樹はパジャマのままカーディガンを羽織り、リビングのテーブルに突っ伏していた。
 その手には、電話の子機が握り締められている。
 自分の携帯に何回電話をかけたか分からない。
 ずっと繋がらない電話に、やり場のない怒りを感じた。


「彩・・・」


 起きた時から感じる胸騒ぎは大きくなるばかりだった。
 その間にも、彩が何処かの部屋で倒れているビジョンは、何回も繰り返して頭に浮かぶ。
 だが、それが何処なのか、何が起きているのか、知る手段は何もない。
 悠と諒が帰ってくるのは、明日。
 だけどそれじゃ・・・。


「間に合わないよ・・・! 悠くん・・・諒くん・・・!」


 目を閉じて、手を合わせる。
 その時、美樹の身体の中で、何かが弾けた。