《ある1日――美樹》



 夏も終わり、ほんの少し前まで賑わっていた目の前の海岸には、マリンスポーツを楽しむ僅かなわずかな人達がいるだけだった。
 新学期も始まり、毎日のように悠や諒目当てで来ていた女子高生達も今は学校にいる時間。
 お昼のラッシュも一段落して、美樹は店の片隅で雑誌を読みながらまったりした時間を過ごしていた。
 静かに流れているクラッシックの音楽以外は、何も聞こえてこなかった。
 いつもならもう少し騒がしいのだが、その元凶の3人は今、買い出しに行っている。


(ほんと、みんないないと静かね・・・)


 たまにはこんな時間もいいものだ。
 そんなことを思いながら、雑誌を読むのも飽きてきて、窓の外に目をやる。
 手持ちぶさたで、店の前を掃除したり、テーブルを拭いてグラスも綺麗に磨く。
 この時間、お客様が来ないのはいつものことだけど・・・。