メリーゴーランドの屋根の上。
 長い髪が風にあおられて、宙に舞っていた。


「また会えて嬉しいね」


 悠と諒がいなかったあの日、展望台で戦ったいつかのアヤカシ。
 言葉の内容とはまるで違うニュアンスを含み、彩は険しい表情で身構える。
 だが、諒が彩を押し退けて前に出た。


「下がってろ」
「嫌だね」
「お前の力じゃだめだ」


 頭ごなしに諒に言われて、あきらかにむっとする彩。
 そんなことは、この前の戦闘で嫌という程思い知らされている。
 だが、それでも。


「借りがあるんだよっ!」


 言いながら、彩はメリーゴーランドめがけて跳躍した。
 諒と悠はすかさず彩のフォローにまわるべく、それぞれが動きやすい位置に移動する。


「この前はよくもやってくれたなぁっ!」


 彩は叫んで女に飛びかかる。
 だが、攻撃が届く直前で・・・女は消えた。