音楽室に入ると、みんなに冷やかされた。
「あんた、なんかやらかしたんでしょー」とか「怒られた?」とか。
みんな、面白がって……。
「なんもないよ!……てか、みんな練習しなよ!」
そう言ってあたしは逃げるように、part練習に向かった。
なんだか、すごく部活が久しぶりに感じる。
耳に響く低い音も、メトロノームがテンポを刻む音も。
……少しピッチはズレているけど、この不安定な音をどう直そうかと考える自分も。
あたしは絶対、忘れない。
部活の後半の時間は、合奏をした。
顧問の山ちゃんの、癖のある指揮と、よく分からない擬音語になんだか笑えた。
ミーティングを終えて、みんなが帰ろうとする中、あたしは美歌と屋上に向かった。
ギィっと重いコンクリートの扉を開け、華を探した。
もう暗くて、よく見えない。
「あ、ケータイの光で見えるんじゃない?」
そう言って美歌は、自分のケータイの光で辺りを照らした。