「朝~!!起きろ~!!」


藤井家の朝は、母、千鶴の一声で始まる。




「母さんおはよう」

「おはよー、カナ。あれヒナは?」

「日向はまだ寝てる」

「は!?まだ寝てんの!?奏多はもう準備終わってんのに!!」

「ははっ、ご飯テーブルに並べとくから、起こしてきていいよ」

「助かる!!ホント奏多はデキた息子~…」


大体起こされる前にちゃんと起きて準備もし終えている長男、奏多は、忙しくて走り回る母のフォローに回る。




「ヒナ~!!起きろ!!」

「んっ…っせぇな…」

「誰に向かって口利いてんだバカ!!」

「ぐはっ…」



口で言ってもきかない奴には、容赦なく母のキックがお見舞いされます。
そして毎日のように被害を受けている次男、日向は…



「マジ…ふざけんな…」


今日も綺麗に鳩尾に蹴りを入れた母を恨めしそうに睨みながら、キッチンに登場。


「はい、日向おはよう」

「おはようじゃねぇよ…。蹴んのやめろって何回言ったら――」

「おはよう」

「………はよ」


しかしどんなに睨んでも、文句を言っても、爽やかなのにどこか威圧的な笑顔で事を済ませてしまう母には、日向も敵わないのである。