暗がりの中、圭吾さんが起き上がるのが分かった。


「待って! まだ明かり点けちゃダメ!」

「どうした?」

「わたしのパジャマどこか分かんない」


圭吾さんが笑った。


「だから明かりを点けるんじゃないか。暗い中で探しても見つからないよ」


カチッと音がして、サイドテーブルの上のランプが点いた。


うわっ!


わたしは、慌てて毛布の中に潜りこんだ。


「志鶴」

圭吾さんが毛布の上から、わたしの頭をポンポンと軽くたたく。

「ほら、着せてあげるから起きなさい」


「いい。自分でする」

わたしは片手だけ出して答えた。


手の上にはらっと布が落ちてきた。


「僕は後ろを向いてるから」


毛布を目の下まで引き下げると、ベッドの端に腰掛ける圭吾さんの背中が見えた。