急にペロがキャンキャンと吠え出した。


「来たね」

悟くんはニヤッと笑って紅茶を飲み干した。


来たって、何が?


いきなりドアが音高く開いて――


「悟っ! この性悪のドラ息子っ!」


すごい怒鳴り声に驚いて、わたしは思わず美月に抱きついた。


「台詞が昭和だね」

悟くんはピクリともせずに、言ってのけた。

「もう少し気の利いた怒り方できないの?」


「何だと!」


鬼の形相で怒鳴り込んで来たのは、悟くんのお父さん――明彦おじ様だった。


「今日という今日は許さん! そこに座れ!」


「もう座ってるよ」


「母さんに何を言った?」


「犬を飼いたいって言うから、『父さんに言って』って言っただけだよ」