「ねぇ、君はあんな下駄箱の影で何をしていたのかな?」

二階、A館とC館を繋ぐ渡り廊下。
離れた所で、涼と高橋さんと洋介先生が取り調べの続きをしている。

紘子はベンチに座って足を組んでいる。
私達は床に正座をし、俯いていた。

「もう一度問おう。何をしていたのかな?」

「……」

何も言えない。
蛇に睨まれた蛙だ。

それもただの蛇じゃない。
毒蛇だ。
賢しい毒蛇だ。

「誰が毒蛇だって?」

「あれ?聞こえてた?」

「全部口に出てたけど」

「……すみません」

取り敢えず、謝っておく。

紘子は悠然と足を組みかえ、私達を見下ろす。

「じゃあ、質問を変えようか。どうして清水くんがここにいるのかな?」

「コイツが勝手に後をついてきたんです!」
「コイツがついてこいって言ったんです!」

「よーし、分かった。両方のせいだな!」

何故そうなる。
と言うか、納得しないでほしい。