そいつの印象は正直、最悪だった。

夏が終わり、秋にはいった某日。

その時の俺、気狐の顔は、文字通り苦虫を噛み潰したような表情をしていたに違いない。

「ねぇ、そこの猫をもふもふしてにやにやしてる君。悪いけどここに案内してくれない?」

公園のベンチに座り、膝に三毛猫を乗せていた俺の頭上から響いた声は、高圧的でまるで女王様のようだった。