部屋に監禁されてから、どれだけの時間が経ったのか。

一日か、一週間か、それとも一ヶ月か。
カレンダーも無く月も太陽も見られないこの部屋で季節感も時間も関係なかった。
時折外からガタガタという音が聞こえ、何かを置いていくもそこに目をやる気力は無かった。




「ジュリア。」
『・・・。』
「はぁ・・・。まるで本物のお人形さんだな。」
ベッドの上に膝を抱え込むように座り込み、自分の体くらいはありそうなファンシーなウサギの人形を抱き締めて、ピクリとも動かないボクを見れば誰だって人形に見えるだろう。

少し前に着替えさせられた、ピンクと黒のバルーンタイプのワンピースドレス。
相変わらず足と首には、アンクレットとネックレス・・・ではなく首輪と足枷。
鎖の重さすら気にならない。





「ジュリア、とにかく飯くらい食え。」
『・・・。』
「食いたくねぇ、はきかねぇぞ。」
目の前のテーブルに置かれた、豪勢な食事たち。
「ほら、食え。」
手首をつかまれ、椅子に座らされると右手にスプーンを持たされた。

「食わなかったら・・・お前に会いたいって言ってるあの男を殺すぞ。」
耳元で囁かれ、目を見開いた。
頬を伝う、一筋の冷や汗。
震える手に持ったスプーンで近くにあったスープをすくい、舐めた。
「食え。」
『・・・。』
渋々口に、サラダを含んだ。
咀嚼もそこそこに喉を通すと、久し振りの栄養に胃が驚き喜んでいた。
それを何回か繰り返すと、フォークを置いた。
「あと、これだけでも食え。」
目の前に置かれたのは、ゼリー。
「林檎のゼリーだ。」
『・・・堅い。』
「まずいか?」

見上げれば、少し申し訳無さそうなマスター。
『美味しいです。』
「・・・そうか。」
ぶっきら棒に言った風に見せてきたマスターは顔を背けたが、その頬は真っ赤だった。