次の日。
朝、教室に入ると、
やっぱり和泉は机に顔を伏せて寝ていた。
「おはよ」
私は和泉にそう声をかけながら、
自分の席に座った。
和泉はピクリとも動かない。
「和泉?」
私はとりあえずバッグを置いて立ち上がり、
和泉を上から覗いた。
和泉は窓の方に顔を向けて、
爆睡していた。
起こしちゃまずいかな・・・
そっとしておこうと、自分の席に着くと、
前の席の女子、阿部詩織(あべしおり)
がニヤニヤしながらこっちを見ていた。
「・・・な・・何?」
「あのさ、葉月さんに協力してほしいことがあるんだけど」
・・・協力?
「何・・を?」
「あのね、うちのクラス、お化け屋敷じゃん」
「・・・うん」
「昨日みんなで残って考えたんだけど・・」
そう言って阿部さんは、私の机に紙を広げた。
「ここ、お化け屋敷の入口。んで、こっちが出口。
最初は日本で、幽霊系妖怪系ね。
んで、こっから西洋の世界になるの」
「せいよう?」
「そ。
フランケンとか、狼男とかは決ってて、
でね。
葉月さんには、ジャーン!」
そう言って阿部さんは、紙袋から白いドレスをだしてきた。
「・・・なに・・これ?」
「ロリータドレス」
「・・・だっ・・だね・・」
「だね!!」
阿部さんはドレスを広げてかわいく首を傾げた。
「呪われたフランス人形みたいにしたいの。
で。みんなでこのクラスで、
ロリータファッションが似合いそうなのは・・って
考えたときに、
葉月さんって、背が小さくてさー」
・・・え。
「髪の色とか、巻具合とかさー」
・・・なんか・・嫌な予感・・・
「葉月さんぴったりじゃないかって!」
・・・・え。
えええええええーーーーー!!!
「私、無理」
「なんでー。そんなこと言わないでよ。
文化祭はみんなで協力するものでしょ?
ちなみに和泉くんは、葉月さんの次に出てくる
ドラキュラになってもらうから。
ね!和泉くん!!」