「どうぞ、こちらにお入りくださいませ」



案内してもらった部屋に入ると、



「お待ちしておりました。彩城様」



笑顔であたしを見る女性スタッフたち。



「お時間がないので、早速メイクを……」



そう言って、素早くあたしを椅子に座らせると、



手際よく、あっという間に、髪をアップに、そしてメイクが終了。



「それでは、次にウエディングドレスをお選びください」



「……ウエディングドレス……ですか??」



結婚式にはウエディングドレス。



当たり前のことなのに、それすら心の準備が出来ていない。



部屋の中には、数えきれないほどのウエディングドレスが並んでいた。



「はい。どのドレスにいたしますか?? お好きなドレスをお選びくださいね」



「今……選ぶんですかっ??」



「そうですね。本日、大東様からの急なご予約という形で承りましたものですから、ドレスが決まり次第、すぐに式を始めさせていただかないと……」



ザっと見ただけでも、フワッとした可愛らしいものから、シンプルなもの、大人っぽいセクシーなデザインのもの。



こんなにあったら、迷わず選べるわけない……。



そう思っていたら、



端のほうにあった、肩の開いた細めのシルエットのドレスが目に付いた。