「あ~~、遅刻しちゃうっ……いってきまぁす」



すっかり着慣れた制服は、グレーのブレザーにチェックのスカート。



今日も慌てて着替え終えると、鏡の前で髪を整えた。



ストレートのロングの黒髪。



たまには巻いてみれば??なんてよく言われるけど、



どこにもそんな時間はありません!!



あたしの朝はいつもバタバタ。



「月魅ったらっ、ほら、お弁当忘れてるわよ!!」



「えっ?? あ、ホントだ。ママ、ありがとっ」



ママからお弁当を受け取ると、玄関までダッシュで駆け込む。



「はぁ、全く……相変わらずね。今日も遅刻かしら……」



そんなあたしを見て、ママが大きなため息をつくのも、



朝の我が家のお決まりのパターンだったりする。



あたし、彩城月魅は現在高校2年生。



なんとか希望通りの雫丘高校に入学して、



それなりに楽しく“女子高生”ってのをやっている。



高校までは、家から自転車で15分。



学校が近いのをいいことに、ついつい今日もお決まりの寝坊……。



「ヤバいっ、遅刻しちゃうっ」



まぁ、だいたい、いつもあたしの朝はこんな感じ。



朝のひんやりした空気を肌で感じながら、自転車を加速させていく。