「月ちゃん、行こっか」



待ち合わせした駅で、あたしを見つけて、



当たり前のように差し出される手。



そして、その手をまだぎこちなく握るあたし。



「ヤバいっ、超イケメンっ♪」



すぐそばにいた二人組の女の子が、優君を見て何やら言っている。



聞こえているのか、聞こえてないのか、



本人は全然意識していないみたいだけど、



どこにいてもやっぱり目立つんだよね。



いつもの制服と違って、今日はモノトーンのチェックシャツに黒のカラージーンズ。



私服だとセンスの良さもあるのか、さらにかっこいい優君。



今日は日曜日。



「混んでなきゃいいけどなぁ」



文化祭が終わって、ホッとする間もなく、



学校にいるとあたしたちは注目の的って感じ。



だって、あれだけ大胆にみんなに見られちゃったんだから、



仕方ないといえばそうなんだけど、



あたしのほうは質問攻めに少し疲れ気味。