……どうして、楽しい時間というのは、早くすぎるのだろう。 今の時間は夜の7時。 あたしと菜樹ちゃんは、海に沈む夕日に見とれていた。 ハルくんと山口くんはパラソルを返しに行った。 ふいに隣にいた菜樹ちゃんが口を開いた。 「美心、苦しいことって、人間みんな、抱えているんだよね」 なぜ、急にこんなことを言うのか分からなかったけど、 あたしは黙って、菜樹ちゃんの話を聞くことにした。