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ご飯も食べ終わり、サクはアイスを食べながらテレビを見てる。そんな横顔をチラチラ見ながら私は小さな声で聞いた。


「……ねえ、今日は歌いに行かないの?」

「行かないよ。雨だからね」

当然の返答。そんなの分かってるのに、なんで聞いたんだろ私……。すると突然、サクが私の顔を覗きこんできた。


「歌って欲しいの?」

「!!」

私は思わず後退りして、露骨に顔を背けてしまった。


「べ、べつに。た、ただ聞いただけだし」

動揺なんかしちゃって、恥ずかしい。


「ふーん。ってかなんでそんな隅っこにいるの?座敷わらしじゃないんだからさ」

サクはアイスを口に頬張って、その棒を私に向けた。たしかに私がいる場所はい部屋の隅で、そこに体育座りで座っているけど。


「俺になにかされるってまだ思ってるの?」

その言葉に、私は大きく首を振った。


「ち、違うよ!ただ、どこに座っていいか分からないし……」

サクのことを100%信用しているわけじゃないけど、サクは私を信用してくれたから、もう警戒心はない。