うわ、最悪。

おれは空を見上げた。
まだ大丈夫だと思ったのになぁ。


学校から出てきた時は少し空が曇っていた程度だから家まで保つと思ってたのに、ぽつりと降ったと思ったら一気にだもんなぁ。
おれはため息をついた。


適当に屋根のある店先に入り、雨宿り。ぐっしょりと雨が体を濡らして、気持ち悪い。


「あ、…田岡くん?」


先客がいたようで、隣を見ると、同じクラスの三辻さんがいた。よくおれに話しかけてくれる子で、男子のいわゆるそういう話題に上がる子だ。


さらさらとした濡れてない茶色っぽい髪が横でひとつにまとまっている。
大きな目がこっちを見た。

「おぉ、三辻も雨宿り?」

その言葉に何故かくすりと笑い、そんなとこ、と軽やかに答えた。

「こっちの方なんでしょ?田岡くんは」

「まぁな。…三辻は…?」


その言葉に、えっとねー、といつもより間延びした声で答えた。

雨がさっきより強くなった気がする。
どこかの屋根から雫が流れ落ちているのか、ぼたっぼたっ、と一定の重い音がする。



「雨の切れ目って見たことある?」