「お邪魔しま...す」
あの発言から二日。
私は彼の印税家に来ていた。
彼は普段かけないメガネをして、ソファーに座っていた。
「オフの日まで、編集さんに会うとは思わなかったなぁ」
「一年に一度の休みが、こんなところで良かったんですか?
それに、そんなことを思っているのでしたら、私帰りますけど?」
なんせ、私も休みなんで。
一年半ぶりの休みを、仕事相手と過ごすって何なの?
「そんなこと言わないでよ、編集さん」
「そんなことを言ったのは、先生です」
彼は目を細めて笑うと、メガネを外した。
ってか何でメガネなのよ。
意外に似合ってて、調子狂う。
「俺のメガネ姿に惚れた?」
「自意識過剰です」
「ハハッ、そっか。
女の子と会うときは、メガネなんだよね」
誰も聞いていませんよ。
そんな小さな小さな、あなたの情報なんて。