『担当を外して欲しいです』



『私にはやっぱり、人気作家は辛いです』




編集長にそう告げて、早二ヶ月が過ぎ去ろうとしていた。



今では、デビューしたばかりの新人の担当をしている。



一週間くらいで消えた体の痣。


でも、時々遠目で見る彼は、つい最近まで二の腕に包帯をしていた。



彼の利き手だったけど、作品を書くのには影響が無いらしいと聞いて、安心してしまった私。



そんなことを思ってしまう私は、やっぱり編集者なんだと思う。



もちろん聞いたのは、新しく担当になった奴から。



あの怪我も、休み中にやった自分の不注意だとなっているらしい。




「ここ、どうすればいいと思います?」



「.......」



「あの、編集「あぁ、ゴメン」




いけない。いけない。



もう彼とは無関係なんだから、今は目の前のことを考えないと。




「ココは、もうちょっと暗いたとえのほうがいいかな」



「やっぱりそう思いますか?でもなかなかイイのが無くて」



「そうねぇー....」




新人作家を育てて、将来小説だけで生きていけるように。


でも、そうなれるのは一握りだと、本人達も理解している。