ブレスレットを天に掲げ、見つめたまま考える。

さて、火の妖精が告げた言葉には、どんな意図があったのか。


あたしに降りかかる困難って?

それを、みんなが助けてくれるの?



「空なんか見上げて、何か面白いものでもありましたか?」



秋晴れの今日、日光浴がしたくて庭にやって来た。

いつの間にか左手が落ちて、ただぼーっと空を見つめてしまっていたらしい。


午前中だけ洋館の訪問を許された誠は、庭のベンチで読書をしている。

今回の本は、人を殺せそうなほど分厚くはなく、普段誠が持っている本よりひとまわり小さい。


本からあたしに視線をずらした誠は、目が合うと眼鏡を右手であげた。

それから眩しそうに、目を細める。



「ちょっとね、考え事をしていたの」

「考え事、ですか」

「今、何が起こってるんだろうって」



また、火が暴れ出したみたいに、何か物質に魔力の宿ることがあるのかしら。

そうしたら、魔法を使わなきゃいけない。

本来、人間界では魔法の使用が禁止されていたはずだけど。