* * *

未だに、花奏が目が覚めない。


「新婚なのに…不幸だな…」


「あいつは頑張って、強い霊を封じようと命を張っている…俺は不幸とは思っていないが」



「そうか…さすがは知弥だな」


智成様は俺と同じ歳。
最初は互いに無愛想で仕事の話しかしなかったが。


俺が結婚してから、意気投合。

個人的に、俺は帝居にある姫宮邸にお邪魔した。


お互いに酒好きで、上等な盃で酒を酌み交わす。


「どーぞ」


奥様の姫宮・紫穂様がキッチンで料理の腕を振るい、俺たちに酒の肴を作ってくれた。


「お気遣いありがとうございます」


「いえ…どういたしまして」
丁重な言葉遣いに、優雅な身こなしでさすがは本当の姫宮様。



「智成さん、深酒はしないでくださいね」

「しないしない」