高津と知り合ってから、二組の教室の前を通る度に彼女の姿を探してしまうようになった。

ソファーであんなデカイ態度をする奴がどんな風に椅子に座っているか、見てみたかった。
結果。寝てた。
起きているところを見ることができなかった。もしかしたら授業中はずっと寝ているのかもしれない。いや、それはまずいだろう。

兎に角、俺はまだあいつがちゃんと動いているところを見たことがない。
必要最低限立ち上がらないのかもしれない。
「どうした?」
二組に在籍している本田進が俺の視線を辿っている。
「いや、そこに寝ている奴・・・」
「あぁ。高津?」
「そう。いつも寝ているのか?」
「そうだな。基本寝ているな」
「ずっと寝てて大丈夫なのか?」
「大丈夫じゃないだろ。起きたときに一人でショック受けているところとか見たことあるし」
きっと起きているかも分からないくらい静かに頭を抱えているんだろうな。
「で。何でそんなこと聞いて来るんだ?接点あったっけ?」
「こないだ出来たんだよ。・・・・なんだよ」
ニヤニヤしている。キモッ。
「次、選択授業だから移動だろ?早く行こうぜ」
「はぐらかした」
「うざい!」