<プロローグ>

ママは高校3年生の冬に、私を妊娠したんだって。

3月まであと数か月だったから、なんとか退学は免れて、

卒業と同時に結婚したって、嬉しそうに話してくれた。

パパはママの5歳年上。

でも、それって23歳のイイ社会人が女子高生と……ってコトでしょ?



「……あ?……なんだよ花美、その目わ。目ぇつけたのはオレが高3の時だから問題ねんだよ」



……ってことは、

ママってば、中1の時すでにパパと付き合ってたってコト?


ぇえええ~!?

今の私と同い年じゃん!



「いいなぁ~」



運命の出会い。



「よくねぇっ。オトコ近づけんじゃねぇぞ?花美」


「パパとママだけずるい」


「ずるくねぇ~の」



そう笑いながら、パパは私のほっぺたにキスをする。



「子供は早く寝な」



子供じゃないもん!!

むくれてると、ママがそっと耳元で囁いた。



「花美に、ホントの本当に好きな人ができたら……」


「……できたら?」


「パパとママのお話聞かせてあげる」


「ホント!?」


「そのかわり、花美の好きな人の話も聞かせてね?」


「うん!」



いたずらに笑うママはとってもキレイで、

そんなママを見つめるパパの目が、私はとっても好きだった。



ママ……私ね、

好きな人ができたんだよ?

ホントの、本当に好きな人。

きっと、ママがパパを好きになったみたいにスキ。


だから聞かせて?

パパとママのオハナシ。

聞いて欲しいの……佐々くんのコト。


夢の中でも、いいから……