6月。
梅雨。
毎日の雨が鬱陶しい。
こんな雨続きの日、わたしの体調は崩れやすくなる。
昔は無理をして調子の良い振りをして登校して、学校で体調を崩して早退する羽目になっていた。
そんな時は、カナがせっせと世話を焼いてくれて……。
けど、やっぱり申し訳なくて、中等部に上がった頃から、無理せず最初から休んでしまうようになった。
この1ヶ月ほど、気が張っていたのか、危ういながらも、毎日、登校できていた。
だけど、今日は、何となく胃が重い。
昔、切った胸の傷跡もシクシクする。
何となく息苦しくて、身体が重い。
そんな身体の中から警告を、わたしは久しぶりに感じていた。
でも、まだ大丈夫。
カナは最近、物問いたげにわたしを見つめてくる。
送り迎えはまだ続いている。
以前は色んな話をしながら歩いていた。
わたしがろくに話さなくなった後も、カナは一生懸命、わたしに話しかけてくれた。
だけど、今は、カナもわたしも無言で歩く。
日課のように、
「送り迎えは、もういいよ」
と言う。
カナもまるで決まり事のように、
「いや、オレがしたいから」
と答える。
そうして、さぞかし居心地が悪いと思うのに、それでもカナはやってくるのだ。
これが責任感からじゃないなら、何だというのだろう?
うつむいて歩きながら、たまに、涙がこぼれそうになる。
唇をきゅっと引き結んで、手をぎゅっと握りしめて、なんとかこらえる。
そんな毎日に、わたしは、もう疲れ切っていた。