「おっはよ、叶太! ハルちゃんも、おはよ」



朝、廊下を歩いていると、中等部から一緒の男の子が、隣を歩くカナの肩をポンと叩いて、わたしたちを抜かしていった。



「よ、相変わらず、仲良いね~!」



そんなことを言いながら、通り過ぎていく人もいる。



小学何年生の時だったかな?

いつの間にか、毎朝、カナが車のところまで迎えに来て、わたしの荷物を持ってくれるようになっていた。

多分、最初は、まだまだひ弱だったわたしが、ランドセルのあまりの重さに、階段の踊り場でしゃがみこんで動けなくなってしまって、それをカナが助けてくれたとき。

それ以来、毎日必ず、わたしの鞄を持ってくれる。

カナはとても健康で、ほとんど皆勤賞って子だったから、それは本当に毎日だった。

中学生になってからも。

……高校生になった、今も。



もう、鞄持ちはいいよって言ったのに、カナは聞いてくれない。



わたしが本当にいいんだって言うと、カナがとても傷ついたような顔をしたので、それ以上言えなくなってしまった。



感謝しているから。

本当に、ありがたいと思っているから。

カナがしてくれたことが迷惑だって言いたかったんじゃないから。



だから、カナが傷ついたような顔をしたのを見ると、もう何も言えなくなってしまった。



でも、カナ、一緒に登校しているならともかく、わざわざ裏口まで、毎朝、毎夕、わたしの送り迎えなんて、やっぱりおかしいよ。



いつの間にか、これが日常になっていた。

ずっと、それが当たり前だと思ってた。

カナが優しく、いつも笑っていたから。



……なんて、傲慢だったんだろう。