◇◇◇


湯船に浸かる。

まだ鼓動は早いままだ。


「はぁ」


小さくついたはずのため息はお風呂の中で大きく響いた。


のぼせないように早めに上がった私はワンピースに着替えて、髪を軽く乾かした。

パーカーを羽織って外に出ると、乾ききっていない髪が夜の風に舞う。


そして、玄関の明かりの下にいる先生と目が合う。


どうしてだろう……。
先生が少し驚いた顔をしたような気がした。


「紗奈ちゃん」


名前を呼ばれて振り向くと、海斗先輩が望遠鏡の前で手を振っている。

私が先輩のところまで歩いたのを見届けてから、先生は玄関の外灯を切った。