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月曜日。

化学準備室はよくわからない匂いがした。


実験に使う薬品とほこりとコーヒーとタバコの混ざった匂いだ。


「せんせ?いっき先生?」


ノックしても返事がない部屋の主にしびれを切らして、私は部屋の中へ踏み込んだ。

その瞬間、ふわっとほこりが舞って光の筋が見える。


「先生、頼まれてたプリント集めてきました」


そう言うと、奥から一本の白い筋が漂ってくるのが見えた。


「おーサンキュー。そこの机に置いておいてくれ」


私はほこりが少なそうな机を選んで手に持っていた紙の束を置いた。

それからもう少し奥へ進む。


散らかった難しそうな本。

タバコがいっぱいになった灰皿。

いつも少ししか開いていない遮光カーテン。


その奥の椅子に座っているのが、坂口樹先生だ。