彼に会う前の私、莉亜。
‐1995年莉亜が中3の秋‐

進路を決定しなければ。

放課後、莉亜は担任に呼ばれた。
「ただいまっ」
「お母さん、話があるんだ」

莉亜は今日こそはちゃんと話そう
決意していた。

母は洗濯物をたたみながら莉亜を
見上げた。


莉亜の幼い頃からの夢・・・。
‐白衣の天使‐看護婦さん


「お母さん私ね、やっぱり看護婦
になりたいっ!」
母「・・・・」

莉亜は母の表情をみてもう一度
「頑張って勉強するから学校へ
行かせてもらいたいです」
母は表情を変えずにただ首を
横に振るだけだった。

「何で?どうしてよ?お母さん
だって私が看護婦になることを
楽しみにしていてくれたじゃん」


この後母からこの理由を聞いた。

最悪だった。

体の力が抜けて莉亜は崩れる様に
ソファーに蹲って泣いた。

・・・・借金だった。

莉亜が小2の時から両親が開業
した飲食店の開店資金として
借りたお金の返済がどんどん
遅れていたらしくうちはすでに
火の車状態だって聞かされた。