やっぱりかずちゃんの子を妊娠していた。

数えてみたら生理がくる日は2週間過ぎていた。


検査結果は陽性だった。

莉亜はあの時の事を思い出した。


あの時の辛さ、苦しさ。

あの子に対する思いを・・・。


もうあんな苦しい思いをしたくなかった。

けど莉亜の気持ちは前とは違っていた。


かずちゃんの子だから。

兄や弟を亡くして命の重さを何より知ってるあの人の赤ちゃん。

莉亜は迷いはない。

絶対にこの子を産みたい。

あんなに自分の子を欲しがっていたし。

莉亜はあの日の絵を思い出した。

かずちゃんと海へ出掛けた日の夜、かずちゃんはホテルにあった紙に絵を描いていた。

海の上には3つボードが浮かぶ。

その上にはオレ、チビ、超チビって書いてあった。

周りにはやしの木が何本かあって三人とも笑ってる。
すごく幸せを感じる絵だった。

「いつかこうして三人で波乗りするのが俺の夢かなっ。超チビはりあににて生意気なんだよ。笑えるよな」

ってかずちゃんは嬉しそうな顔で言っていた。

あの時の顔を忘れられない。

だからこの子を絶対に産みたい。

かずちゃんの笑顔をみたいから。