雲1つない青空、秋風がほのかに吹く。


無限大に広がる海を久しぶりに近くでみた。


サーファー達があっちこっちで海にプカプカ浮かんで波待ちしている。


大塚さんは仕事の時と別人のようにはしゃいでいた。


ウエットスーツに着替えて走って海に入っていく。


ボードに腹這いになってパドリングしてポイントまで手漕ぎしていく。

さっきまですぐ近くにいたのに沖まで行くと姿が段々と小さく見える。


ポイントにつくと自分の波が来るのをひたすら待つ。

あの海の上で何を考えているのだろう?


海の上ってどんな感じなのかな?

莉亜の知らない世界。

波が来た。波の速さに合わせてパドリングを始めた。

テイクオフして波に乗る。
柔らかいホームで気持ちよさそうに波に溶けこんでいった。

莉亜はそれを見て本気でサーフィンをやってみたいなって初めて思った。


今まではやってみたいなっとしか思わなかった。

けど海とあんなに一体になって気持ちよさそうに風をきっていく姿が魅力的だった。


今まで働く事しか頑張れなかった。
けどボールを必死に追い掛けたあの頃のように何かに一生懸命になりたかった。