-中絶から1週間後-

いつものように莉亜は電車の中にいた。


ぼんやり外を眺める。

見ている景色がどんどん変わっていく。

それと同じように時が流れると過去が消えていく・・・。


莉亜の体調はまだ完全ではないけど仕事もバイトも休みをとって家にいたら自分がどんどん消えてしまう気がしていた。


いつものように頑張る事があの子に対するせめてもの償いになると思うから。


自分らしく一生懸命生きていかなきゃならない。


けどやっぱりふとした瞬間にあの子の映像を思い出す。

愛しくて会いたくてたまらなくなる。

その度に手帳に挟んである超音波での写真を眺めて、真ん中の心臓の部分に触れる。


あの子はもういないけど莉亜の心の中でずっと生き続ける。


仕事が終わって家に帰るとまぁさんが早く帰ってきてくれていた。

莉亜の大好物を作って帰りを待っててくれた。

まぁさんだってまだ立ち直ったわけではないのに莉亜を元気づけようと必死に笑ってる

その表情を見るとやっぱり辛い。

まぁさんだって凄く辛くて苦しいはずなのに・・・

苦しめてしまってごめんね。無理にでも笑ってくれてありがとう・・・