もう8月も終わりに近づいていたことを知ったのは、ついさっきのこと。


大奥では、ただだらだらと日が過ぎていくだけで、今日が何月何日かなんて、全然わからなかった。


沖田は早朝に、握り飯持参で蔵へやってきた。


「それを食べたら、顔を洗え。
幹部たちに、紹介することになった」


「おぉ……」


幹部か。


どんな人たちなんだろう。


荒くれ者たちの幹部だもの、みんなゴツくて強面だったりして。


「幹部が了解したら、そこで初めてお前は正式入隊になる。
了解されないように、せいぜい無礼な発言をしてくれ」


「えっ、ちょっとちょっと!何それ、ひどくない?!」


沖田はどうしても、あたしが入隊することが嫌みたい。


それにしても、あからさまだなぁ。


昨夜、あたしを説得できなかったから、土方に怒られたのかな。


「でもさー、いやらしいよねー。
説得したいなら、自分が来ればいいのに」


「誰の話だ」


「土方に決まってんじゃん」



その名を呼び捨てにした途端、沖田の顔色が急変した。


切れ長の目がつりあがり、鬼のようになる。