要side

『先輩、助けて...』

あれっきり、杏樹は応答をしない。

杏樹だけじゃなく、他の3人も応答しない。

「なぁ、あいつら...応答しない」

「は?」

「杏樹が、助けてって言った後、誰も応答しないんだよ」

「まじ!?」

「ああ。絶対に何かあった」

でも、俺以外の人は杏樹のテレパスが届かなかったみたい。

大丈夫かなぁ。

「結衣」

「..........そういえば、最近、蝶野学園の美人の女生徒が次々と誘拐されているって聞いた。それで、帰ってきた人は放心状態。それから、どんなに強いアビでも勝ち目は無いって言ってた」

誘拐。

それは、杏樹が一番恐れている事。

だって、誘拐って言葉を聴いただけでパニックを起こすくらいだ。

だから、Sクラスでは誘拐って言葉は禁句になっている。

「でも、誘拐とは限らないんじゃないのか?」

でも、誘拐だと思う。
だって、杏樹はそう簡単にやられないし。

「俺は全力でアイツらを探す。何かイヤな予感がするんだ」

胸がざわつく。

「俺も探す。要、俺もイヤな予感がするんだ。いったん、学園に戻ろう。それで、先生に聞こう」

「だめだ。今から、探さないと」

間に合わなくなる気がする。


誰か。
杏樹達を助けて。