やがて、振り払う事にも疲れ果てて。

あたしはまた、力無くふらふらと歩き始める。

じゃりじゃりと石を踏み、ゆっくりと。


綿が詰まったかのように、まるで働かない頭を抱えながら。

ただ歩き、ただ影を踏み、ただ進む。


気がつくと自分の部屋の前まで歩いてきていた。


「・・・・・」

帰って来たかったわけじゃないけど。

他に、どこに行く事ができるわけでもない。

あたしは、しま子を庭に残して縁側に上がる。

そしてノロノロと部屋のふすまを開けた。



「お帰り」



門川君・・・・・。


門川君が、正座してあたしを迎えてくれた。


彼の顔を見た瞬間、あたしの心臓は、ズクンッ!と痛んだ。

言いようの無い、この痛み。


門川君。

あたしのじー様は・・・

あなたの、おばあ様を・・・。



痛い。痛い。苦しい。