ハンズは
また少し成長して
少年になりました

世界は
戦争と言う
殺し合いを
していました

ハンズは
なぜ
戦争をするのか
殺し合いがなんなのか
その意味も
わかりませんでした

感情のない
ハンズには
善悪などないからです

ある日
ハンズは
兵隊として戦場に
連れて行かれました

そこで
レインと言う少年と
出会いました
明るく冗談がうまく
みんなに好かれていました

ハンズと同じくらいの
少年でした

そんな人気者の
レインはなぜか

感情がなく
何も話さず
兵士としても
使い物にならない
1人のハンズを
いつも
気にかけてくれました

何も答えないハンズに
いつも
いつも
話しかけていました


両親のこと
友達のこと
故郷のこと


ハンズは
何も言わず
聞いていました

戦場でも
テントの中でも
移動中も

いつも
レインはハンズに
話をしました

いつも
レインはハンズに
聞きました

お前の両親は?
お前の友達は?
お前の故郷は?

でも
感情がなく
言葉を持たないハンズは
なにも言いません


でも
それでも
レインはハンズが
大好きでした

明るく振る舞ってはいたけれど

レインは
毎日毎日
怖くて怖くて
たまりませんでした

毎日毎日
どこかで誰かが
殺されていて

いつ
自分が死ぬのだろうといつもいつも
怯えていました

明るくしていないと
頭が
おかしくなりそうでした

でも
それでも
ハンズといるときだけは
穏やかな安らいだ
気持ちになれました

自分の不安な気持ちの
変わりの話しを
ただただ
黙って聞いてくれる
ハンズ

何も言ってはくれないけれど
レインはそれでも
満足でした


けれど


そんな日々も
長く続きませんでした


戦争は全てを奪うと
誰かが
言っていました

もちろん
ハンズには
その意味は
わかりませんでした