あれは……14歳の頃。





ちょうど朝から曇り空だった、あの日。

天気予報で『午後からは雨が降り出すでしょう』なんて言ってたかな。


授業終了のチャイムが鳴り響き、教室からは次々と帰る準備をした生徒が出て行く。

その行動を目で見ながら、席に着いたままの私は、女子に囲まれて中々こっちに来ない陽呂を待っていた。


「心菜さん、俺委員会なんで先に帰っててくれますか? 車、門前に呼んであるんで」


囲まれた隙間から目が合うと、女子を掻き分けて来た陽呂からの言葉。


「……わかった」


何よ。

それなら、もっと早く言えばいいじゃない。


その輪に戻る陽呂の背中を見ながら、ぷぅーっと頬が膨れた。


荷物を持ち、靴を履き変え。


見上げた空は、今にも雨が降りそう。