【月side】


今はまだダメなんだ…。


この赤い月が許してくれるまでは

ダメなんだ…きっと…。


あたしはまだ月に認めてもらえてないんだ…。


何でだろう…。


人は悲しくなるといつも同じ場所に集まる。

例えば夜の海とか…。


「あたしもその1人なんだけどね……」


あたしは静かな夜の海を見つめた。

すると急に、


「悩んでるのね…。」


と後ろから女の人の声がした。


「誰だ!どこにいる?!」


振り返ってみたが姿は見えない。

一体どこにいるんだっ!


「やーね。そんな怖い顔しないでよ。私は深海に住む黒魔女。少しでも外に出たくて来たの。」


「うわぁぁっ!!」


真っ正面に急に少女の姿が現れた。


あたしは暗い夜の景色に

飲み込まれるように彼女を見つめた。


海は広くて自由で…なんとも言えないほどの

大きな夢と希望を持っている。


だけど…。


「深海は寂しいだろ…?」