眠い。

どーしても眠い。

この暗闇と、子守唄のような音楽と、快適なソファーで…。


今日は里香と映画館に来ている。

血液内科に来てようやくできた“休日”だ。

里香は上機嫌で『これ見たかったんだよね~!』と、嬉しそうにポップコーンを頬張っていた。

今日こそ、家族サービスならぬ、彼女サービスってことで。

朝迎えに行ったら、かわいい白のワンピースなんて着てて“あーもう、オレの彼女サイコー”とか実感して。

それにしても…

映画ってこんな眠いもんだっけ?

これまた興味のない甘い恋愛映画なもんだから、眠気に拍車がかかるわけだ。

感動するシーンになると、里香はオレの腕をつかむ。

あー、そう。

そんなに感動するんだ。

つーか、そのウルウルした里香の眼が可愛過ぎて、オレは映画よりか…


半分寝かけていた、その時。

ポケットのケータイのバイブが鳴って、一瞬にして現実世界へ。

コッソリ里香に耳打ちする。


「悪い、ちょっと電話出てくる」

「…え?そらくん?ちょっと…!」