循環器内科病棟は、中年から高齢者の患者さんがほとんど。
最近では30代の心筋梗塞患者も増えているっていうけど、その割合としてはやっぱり少数なのかもしれない。
日本の超高齢化社会はすぐそこだ。
大屋先生は無言のまま廊下を歩く。
患者さんたちが時々“先生おはようございます”って言いながらすれ違う。
そんな時には少しだけ口角を上げて会釈するのだ。
物静かにも程がある…。
「先生は…」
いきなり話し始めた大屋先生。
それも声が小さいから、慌てて横まで追いかけて耳を澄ます。
「ブルガダ症候群の治療法を言えますか?」
いきなりのテストかよ!?
でも、国家試験受けたばかりの脳ミソがフル回転で回答する。
「ICD植え込みが基本だと思います」
「そうですね」
ホッと胸をなで下ろした。
ICD、つまり、不整脈が起きた時に電気ショックを落として治療する機械を、身体に埋め込むわけだ。
手術としては簡単。
ほんの数時間もあればできるって習った。
「今回の症例は、女性の患者さんです」
「…ブルガダで女性って珍しくないですか?」
「道重先生、意外とよく勉強してるんですね…。その通り、約9割が男性に発症すると言われています」
“意外と”ってどういう意味だよ…!?
まぁ聞き流しておくか。
「彼女の場合、父親がブルガダ症候群で突然死していることから、遺伝が考えられますね」
大屋先生は相変わらずの無表情で、ある部屋の前で立ち止まった。
最近では30代の心筋梗塞患者も増えているっていうけど、その割合としてはやっぱり少数なのかもしれない。
日本の超高齢化社会はすぐそこだ。
大屋先生は無言のまま廊下を歩く。
患者さんたちが時々“先生おはようございます”って言いながらすれ違う。
そんな時には少しだけ口角を上げて会釈するのだ。
物静かにも程がある…。
「先生は…」
いきなり話し始めた大屋先生。
それも声が小さいから、慌てて横まで追いかけて耳を澄ます。
「ブルガダ症候群の治療法を言えますか?」
いきなりのテストかよ!?
でも、国家試験受けたばかりの脳ミソがフル回転で回答する。
「ICD植え込みが基本だと思います」
「そうですね」
ホッと胸をなで下ろした。
ICD、つまり、不整脈が起きた時に電気ショックを落として治療する機械を、身体に埋め込むわけだ。
手術としては簡単。
ほんの数時間もあればできるって習った。
「今回の症例は、女性の患者さんです」
「…ブルガダで女性って珍しくないですか?」
「道重先生、意外とよく勉強してるんですね…。その通り、約9割が男性に発症すると言われています」
“意外と”ってどういう意味だよ…!?
まぁ聞き流しておくか。
「彼女の場合、父親がブルガダ症候群で突然死していることから、遺伝が考えられますね」
大屋先生は相変わらずの無表情で、ある部屋の前で立ち止まった。