「おかしいな。この引き出しに入れてたんだけど」



斗真は家に着くなり、部屋中をひっくり返して時計を探している。あるわけないじゃん。真柴さんの左腕にあるんだから。



「もういい? 帰る」


「待って。本当に大切な時計なのに、他人にあげるわけないじゃん」


「言い訳は聞かない約束だし」



ソファーから立ち上がると、斗真はあたしの両腕を強く掴んできた。



「もし、だよ。万が一、俺が真柴さんに時計をあげていたとして。メイコは簡単に俺と別れられるの?」