夜になって、お父さんが帰宅した。




おそらく一階では、お母さんがわたしの妊娠のことをお父さんに話しているのだろう。



わたしは自分の部屋にこもっていた。


お父さんと顔を合わせるのが怖かった。



けれどもいつまでも、そうやって隠れているわけにはいかなかった。


お母さんが二階に上がってきて、わたしにお父さんと話すようにと言った。




わたしは重たい足を引きずるようにして、階段を一段一段下り、一階のお父さんがいる居間に行った。



居間に入ると、ソファーに座っているお父さんの後姿が見えた。


わたしはうつむいて、ソファーのあるところまで行き、お父さんからできるだけはなれたところに座った。



お父さんが厳しい目でわたしを見ている。


お父さんの視線が痛かった。


お父さんから怒鳴られる。そう思っていた。


けれどもお父さんは怒鳴らなかった。


それはお父さんのショックの大きさを表していた。