目覚まし時計の12分前に目が覚める。

 それがいつもの癖だ。実家の自分の部屋にいても、出先のホテルでも、友達の部屋でも。

 そしてここ、5年間付き合ってきた彼氏、石原光の部屋でも。

 あたしは枕元に転がした携帯電話のアラームを、鳴る前に切った。

 そしてゆるゆると体を起こす。

 家主不在のベッドの上でううーんと体を起こして、首をふって肩を鳴らした。

「・・・寝た気がしないわ・・・」

 しゃがれた声で呟く。

 だって、眠りについたのは昨日・・・いや、今朝の3時の話で、今は7時。それもこの部屋の家主である光の帰りを待って、机に頭をつけて眠ってしまい、途中でこれではいかんとベッドに潜り込んだから、体を伸ばして寝たのは実質2時間くらいだ。

 しかも。

 しかもしかも。

 あたしはその午前3時に、彼氏である光に振られたばかりなのだ。

 一体いつ帰ってくるのよ!と怒りの電話をかけて、残業中でいらついたヤツの冷たい声が受話器から聞こえた時も、眠すぎてまともな反応は出来なかったくらいだ。

『なあ、俺たちもう無理だと思わないか?』