あ~…、まずった~…。





 車を運転しながら、俺は昨日のことを思い出していた。


 からかうつもりでしたキスマーク。


 俺の中では男除けという意味も含まれてつけたのだが、どうやらやりすぎたらしい。


 今朝、メールを茅乃に送ったのだが、すでに二時間も経っている今でも返信はない。


 これは、かなり怒ってるよな………。





 いつもなら強気で行ける俺だが、それも茅乃が本当には怒っていないということがわかるから。


 だけど、今回は本気で怒っている。


 だけど、茅乃が怒るのも当たり前の話で―――…。


 俺の自己満足でつけたキスマークだが、制服を着れば、ばれるのは一目瞭然。


 まだ、隠れるところに付けたのなら、茅乃もこれほどまでに怒ることもなかったのかもしれない。


 ミスったな………。











「さっきから何を何度もため息吐いてるわけ?」


「え? あ、ああ、別に………」





 後部座席に座っている母さんが後ろから声をかけてくる。


 その隣には父さんも居て、二人が不思議そうな顔で俺のことを見ているのがバックミラーから見て取れた。


「もしかして、茅乃ちゃん?」


「………」