トントントントン…。





 まるで圧力をかけてくるようなその音をあえて無視して、あたしは目の前に広がっている問題集の問題をせっせと解いていく。


「おい…」


 低い声がしたけど、それもあえて無視。


「おい」


 またも聞こえたけど、無視。


「おいっ!」

「できましたっ!」





 三度目に聞こえてきた声に、あたしは素早く反応し、奴の前にガバッと解いた問題集を突きつける。


「うっ…」





 眉間に思いっきり深い皺を寄せながらも、しぶしぶといった形であたしが差し出した問題集を受け取り、目を通す。


 その姿に、ホッとするあたし。


 ふとカレンダーに目をやると、明日は土曜日。


 学校も休みの休日。


 とにかく、今日さえ乗り切れば………。