この前の、ママのいつもの突拍子のない発言のお蔭で、圭くんの家にいきなりお泊りということになってしまったあの日から、二週間が経とうとしていた。





 結局あの日から、圭くんがいろいろと学校とバイトのほうが忙しいということもあり、会うのは家庭教師の日だけという日が続いていた。





 あの日のことを思い出すだけでも、顔から火が出そうなほど恥ずかしい。


 あの日、一瞬自分の中で諦めに似た覚悟を決めつつあったんだけど、予想外に、圭くんはあたしに手を出してくることはなかった。


 まあ、からかわれ半分に手を出されたりはしたけど………





 それはたぶん、圭くんの優しさ――… 


 滅多に見ることができないけどね。


 そして、わかりづらい―――…





 それでも、圭くんがあたしのことを思って我慢してくれたのは事実―――…。


 あの、自分優先って感じの圭くんが、我慢してくれたことが奇跡だよ。


 だから、あたしもそんな圭くんの優しさに応えなくちゃ。


 あたしが圭くんに応える、それは―――…





 覚悟を決めるということ。





 たぶん、あたしにできることって、それぐらいなんだよね。


 そして、恐らく圭くんにとっても、それが一番のプレゼントになるんだと思う。


 さすがに、ここ最近の圭くんのあたしを見る目が、少し違っていることも気づいている。


 正直、男の人の視線の中に隠れている心理なんてものがわかるようになるとは、思いもしなかった。


 だけど、時たまジッと自分のことを見てくる圭くん。


 だからと言って、何かをしてくることも言ってくることもない。


 でも、あの目で見られると、あたしはなんだか圭くんに抱かれてしまっているような錯覚に陥ってしまう。


 体の芯がすごく熱くなってきて、息苦しくなる。


 なんだかわからないけど、圭くんに触れたくて――…