「ハァ~…」





 茅乃が俺が出した着替えを持ち、風呂場のドアを閉めたのを見届けると俺はベッドに凭れ掛け、思いっきり息を吐いた。





 これって、結構つらい――…





 好きな女がすぐ自分の近くにいて、部屋には二人だけ。


 誰も邪魔する人はいない。


 この状況で、手を出すことができないなんて―――…


「生殺し過ぎるだろ……」





 もしかして、おばさんが茅乃を一晩泊めて欲しいと言ったのは、俺の理性を試してたりするのか?


 それでなのか?


 俺は、自分の欲望をそのままぶつけるような男かということを試されてるんだろうか?





 からかいながらも、どれだけこのまま手を出して抱いてやろうかと思ったことか。


 だけど、不安そうに俺のことを見てくる茅乃の目を見ると、強引に抱くなんてことはできなかった。


 今までの俺からすると、考えられないことだな。


 相手の気持ちを待つとか、相手のことを考えたことなんて一度だってない。


 自分がやりたい時だけ、呼び出してやって………。


 今考えると、最悪だ―――…





 それを、茅乃に言われて初めて気づくとか、俺って終わってたよな~…。


 他の奴にだって、言われたことはあったけど、勝手に言ってろって感じだった。


 なのに、茅乃に知られた時は、すげぇ自分がしていたことが恥ずかしく思えて―――…