出勤途中の朝の事。


それは、記憶に新しい出会い方だった。


乃莉子は、昨日から今朝にかけての、人生初体験の出来事に考えを巡らせながら、慣れた道を急ぎ足で進んでいた。


私立高校の前を通り過ぎ、角を曲がる。


少し小洒落た街頭が並ぶ、静かな道。


そこで乃莉子は、二つ目の街頭の辺りに、シャボン玉のような透明な球体が漂っている事に、自分の目を疑った。


『デジャヴュ?』


そう思ってしまう程、全く昨日の朝と同じ光景を、目の当たりにしていたからだ。