リュートが水面からいなくなって、残った3人はぽかん…と立ち尽くしていた。

「……………はっ!
リュートっ!?」

いち早く我に返ったシーファが泉を覗きこむ。

「ちょっと…嘘でしょ?」

「助けないとっ!」

シーファはそう言うと、泉に飛び込んだ。

「俺達も行くぞ。」

ガルが続いて飛び込んだ。
リュートはかなり泳ぎが上手い。ある程度の時間は潜水ができ、普段ならガル達は心配しないだろう。
しかし、今回は沈み方が異常だった。
水の中に何かがいる可能性がある。
もしそうだったらシーファだけでは危険だ。
ニーナははぁ〜とため息を漏らして泉に飛び込んだ。


シーファは泉の中でリュートの姿を探した。
泉はやはりただの水たまりではなく、洞窟になっていて横穴に続いていた。
そこにイルカの尻尾とリュートの足が消えていった。

(リュート…ちょっと待って…)

シーファが横穴に進もうとすると、ガルが肩を掴んだ。

(ガル、リュートがイルカに…)

シーファは横穴を指差した。
ガルは後から来たニーナと目を合わせると、シーファと共に横穴に泳いでいった。


横穴に入るとずっと遠くに魚影と人影が見えた。
さっきのイルカがリュートの腰のベルトをくわえて、洞窟の中を進んでいた。

(あのイルカ、なんでリュートを…)

(この洞窟、一体どこに続いてる?)

もしこの洞窟がまだ続いているとしたら、リュートだけでなく自分達も危険だ。
見たところこの洞窟は水、いや、海水でいっぱいだ。

ガルは泳ぐスピードを上げた。
ニーナはその速度についていけそうもなく、ガルに手を引いてもらっていたが、シーファはそうではなかった。
ガルの横にぴったりと並び、しかし、ガルより滑らかに水の中を進んでいた。

そんなことを考えながら進むと、洞窟は大きく曲がっていた。

後を追ってガル達も曲がると、目の前に美しい海底が広がっていた。