部屋の中央にある椅子に、シーファは座っていた。
そして、それを囲むようにペック、カーラ先生、ガル達がシーファの顔を見つめていた。
沈黙の中、シーファが口を開いた。

「もう…分かっていると思うけど…私の本当の名前はシルフェリア・ウ・トイス。…トイス王国の第一王位継承者です。」

「やっぱり…」

頭を抱えるニーナ、その隣でリュートが突然立ち上がった。

「ほらぁ!俺、似てるって言っただろ〜
そっかぁ〜シーファはホントにお姫さんだったんだな〜」

「いいから、座ってなさい。」

ニーナが椅子に引きずり戻した。

「なんだよ、認めろよ。俺だけがシーファの正体に気付いてたんだからな!」

「あんたは、ただ似てるって言っただけでしょ?本人だって事は、言ってないじゃない。」

「大体、ニーナ、姫さんと知り合いになれたら都合がいいって言ってたじゃ…」

「うるさいっ!(今、言うことじゃないでしょっ)」
「なんだよ!言いたい事があるならはっきり言えっ!」

ぎゃーぎゃーと言い合いを始める2人をガルが止めようとすると、1つの椅子が音を立てた。

「やかましいっ!シルフェリア様のお話の途中だぞっ。しかも、お前達…特に、そこの坊主!
さっきから、シーファ、シーファと…失礼にもほどがあるぞっ!」

すっかり興奮したその迫力に2人はしゅん…として椅子に座り直した。

「よろしい。
では、シルフェリア様、お話の続きを…」

「あ、はい…
でも、そんなに神経質にならなくてもいいから…
私はもう、王女じゃないんだから。」

「そうよ、それ!どうして王女様が、金髪のカツラかぶって、孤児院で働いてたの?」

シーファもまたペックの迫力に唖然として苦笑いを浮かべていた。
そして、話しを続けた。

「露店のおばちゃんにも聞いたと思うけど…ホントは失踪じゃなくて、家出…なの。」



『い、家出ぇえぇーーっ!?』